ゼネラリストの人材育成・能力開発

ゼネラリストの人材育成・能力開発

増田昌幸

第1章 ゼネラリストの人材育成・能力開発

・日本の大卒のホワイトカラーの特色は「専門性とその中での幅の広さ」で、他国のスペシャリストとは違うわけではない。

〇線の太い細いで考えると分かりやすい。

第2章 本書の人材育成・能力開発研究における位置づけ

・日本的雇用システムとは、①長期生活保障、②長期的能力開発という二つの編成原理が働いていることで、これを制度的に支えているのが、長期安定雇用・終身雇用と年功序列、及びOJTプラスの人的資源形成メカニズム。

・労働者層(ブルーカラー)の知的熟練、問題と変化をこなす腕。量産組立職場でも、「普段と違った作業」に「問題への対応」と「変化への対応」が知的熟練の内実。

〇ジョブクラフティングの考え方でしょうか。

第3章 分析対象としての大学職員と大学職員研究の展開

・大学職員がいかに能力を向上させても、処遇にはほとんど反映されない。(中略)大学事務職員は能力向上のインセンティブが働きにくい組織特性を持っている。

・大学職員は大学教員に使えている立場であり、アクティブではなくリアクティブ、という自己規定。

・大学職員が学位を取得するうえで重要なのが、学位それ自体でなく、学術研究を理解して大学教員に共感する力が身につくこと。

第5章 職務特性の規定要因

・技能レベルの低い仕事に就いている場合、能力開発を「行えない」ことではなく、「意味(必要性)を感じられないところに問題の中心が。

・入試・広報は「パターンが決まった職務(入試業務)の実施」と「新規事業の企画・開発(学生募集など)」の、定型的な職務と非定型的な職務が混在。

・大学職員の定型的な職務の割合は、民間の企業と比較して高いことが、定期異動(ジョブローテーション)を可能に。

第6章 満足度の規定要因と職務特性との関係

・20歳代前半で大学職員となり、20年間もの間、一般専任職員として定型的な職務中心の仕事をして、その後に訪れる急激な変化の影響を示唆。

〇管理職になって、「あれ、いまさら『非定型的な職務』を求められても・・・」ということでしょうか。能力開発が怠われてきた結果・・・?

第7章 知識習得・能力開発向上の規定要因と職務特性・満足度との関係

・一定期間で退職までジョブローテーションが行われるため、未経験の職務に対応するための知識習得は不可欠だが、専門分野も定まらず、絶えず新たな知識を意欲的に習得するのは、年齢の高まりとともに困難に。

第8章 結論と今後の課題

・後進の人材育成・能力開発に関わることは、自らの負担が増すことになるが、コストと捉えず、義務と感じられるような組織風土を醸成する必要。

〇「義務」を楽しくできるかどうか。

・ゼネラリスト養成は知識習得・能力向上の意欲が高い20歳台から30歳台までとし、40歳台以降は本人の適性や意欲を見極めて、一定の職務範囲内に留めるなどの施策(が有用では)。

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