移動と階級
移動と階級
伊藤将人
第1章 移動とは何か?
・人や情報の移動がモノのや文化の移動をもたらし、お金の移動ももたらす。すべての移動は繋がっている。
・世界経済を牽引する多くのビリオネアが宇宙行きのチケットを予約・購入。(中略)移動の自由は常に希少で不平等に分配される商品として、階層化の要因に。
・グローバル化がもたらした人やモノ、お金、情報のボーダレスな移動は、国家や国境などを問い直すと共に、移動を秩序の脅威と捉え、定住を安定とみなす「定住主義」の存立基盤を崩す。(中略)移動が関心を集めるからこそ、逆に地域の伝統やナショナリズムが強まる部分も。
第2章 知られざる「移動格差」の実態
・社会学者の貞包は、学力や財産、経験に恵まれたものが、それなりの努力や準備を経て初めて移動する時代だと指摘。
・他人と自身の移動を比較して生じる妬みや羨望は、人生のコマが順調に前に進んでいる感覚もしくは離脱感と関連する可能性。
第3章 移動をめぐる「7つの論点」
・社会的に成功者と言われたりそれを自負する人の中には、「移動=成功」を他者に押し付けたがる人がいることが、ネットワーク資本から説明可。
・「成功したいなら移動せよ」という主張の問題は、実力や能力以外の構造的な不平等や環境要因によっても、人々の移動資本やネットワーク資本が成り立っているから。
○「公共」という観点でどう考えるか。
・犯罪を犯したら刑務所に入れられるのは、移動の制限による刑罰の最たる例。移動の自由はあらゆるじゆうの拠り所。
・この世が(移動不可能財である)「移動できないもの」に溢れているからこそ、移動には価値が。移動の権利や価値は「〇〇からの移動」ばかり論じられてきたが「〇〇への移動」を論じ、移動しないもの/ことの価値も論じる必要が。
・「転職なき移住」は主に東京在住者の移住を”効率的”に促す政策であり、相対的に移住しやすい人の移住を様々なインセンティブと共に促すような政策。(中略)移住をめぐる機会の格差を政策的に拡大。
・移動をめぐる困難や不安に対する女性の声の収集と反映は、女性以外も含め様々な人たちの移動格差の解消に結び付く。
○女性が強くなるというのは、社会がやさしくなることに繋がるのでしょう。
・異常気象や気候変動などに由来する災害時の政治的な決定は、時に緊急性を盾に「ショック・ドクトリン」の形で決定。戦争、自然災害、政変などの惨事に付け込み、人々が茫然自失している間に過激な政治や経済の改革を行うこと。
第4章 格差解消に向けた「5つの観点と方策」
・社会学という分野には、社会問題とはそこに常に存在するのでなく、人々が社会問題だと認識して初めて社会問題となり、存在するようになるという考え方。
・複数のカテゴリーに着目する「インターセクショナリティ」、分析ツール。個人の中にある様々な特性の重なりに焦点を当てる見方。あらゆる格差や不平等、差別について、それぞれ一つのアプローチでは解消されない課題や構造的な不利益に向ける思考法。
○多様性を認め、対話することでしょうか。
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