【森本鉄鋼産業株式会社】森本勝好さん

板橋区の起業家インタビュー、第32回目は「司産業株式会社」の浅野さんからのご紹介で「森本鉄鋼産業株式会社」代表取締役社長の森本勝好さんにお話を伺いました。

実は森本さんの弟さんとは行政書士会のつながりで以前から仲良くさせてもらっていたのですが、ご縁とは不思議なものですね。

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インタビュー当日、森本さんをお待ちしている間、経営管理チームリーダーの佐々木さんからもお話を聞かせていただきました。

佐々木さんの生家は森本鐵鋼のそばで食堂を営んでいたそうで、森本家と佐々木さんのお父さんは友人だったそうです。森本家はもちろん、会社の皆さんもよく食事をしに来てくれていた、いわば「ご近所さん」。やはりご縁って不思議です。

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-森本社長って、どんな方ですか。

佐々木さん:仕事を任せてくれる人であり、外から支えてくれる人です。社長に就任する前は社外取締役として外から改革を実施してくれていました。組織改編し、会社を大きくしてくれた人です。以前にも増して働きやすくなりました。

佐々木さん:森本社長が関わる前はリーダー不在の企業で、よく言えばそれぞれが勝手に動ける会社でした。町工場から「企業」となるために一歩踏み出したのだと思います。目に見えて従業員が変化していきました。

佐々木さん:ワークライフバランスを考えてくれる人。そして、従業員の家族も大事にしてくれる人です。

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-家業を継いだ経緯を教えてください。

森本さん:私は4代目になります。創業者の甥です。2代目は初代の義理の息子だったのですが、60代の時に急逝し、現会長である初代の弟である父が3代目として就任しました。

森本さん:前職では新規事業の立ち上げや、社内コーポレーションでM&A、中小中堅の経営支援なども行っていました。2016年に社外取締役になったのを皮切りに経営に関わるようになり、2018年に社長に就任しました。仕方なかった部分もありました(苦笑)。

-佐々木さんから、「外から改革してくれた人」とお伺いしました。

森本さん:業界は今、過渡期にあります。古い体質のままでは立ち行かないと思っていました。まずは「町工場」から「普通の企業」にするためにギャップを解消することから始めました。

森本

さん:従業員全員に役職を背負ってもらっています。そうして皆に自信を持ってもらいたい、同窓会で胸を張ってもらいたいという思いでした。

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-教育・育成についてのお考えを教えてください。

森本さん:先代まで「うちは家族主義」と言っていましたが、要は家族経営ですよね。家業から、企業にしたかったんです。

森本さん:私は、あまり会社にいないようにしているのですが、外からのお客さんが、たまたま会社にいた自分を見たとき、従業員に「あの人は誰ですか?」「弊社の社長です」というくらい、自分は会社にいなくても大丈夫なようにしたい。自分が会社にいなくてもよい状態にするために、皆に任せることで成長してほしいと思っています。

森本さん:皆には、自身の子供、孫の代まで教育しなさいと伝えています。従業員に、例えば子育てが一段落したなら大学院で学びなさいと。高卒にコンプレックスがある従業員もいます。家庭の事情で大学に行けずに働いた人には、キャンパスの雰囲気を味わってもらいたいという気持ちがあります。モラトリアムな時間を取り戻すために、学び、遊んでほしい。

森本さん:時折、大正大学で講師を頼まれるのですが、従業員に学べというからには、自身が学んでいる姿を見せることも必要だと思っています。そうして学びで得た情報は皆にシェアしています。モノローグ(独白)ではなく、ダイアローグ(対話)で。

森本さん:ダイアローグで引き出すのは「先生」の仕事です。時にはハプニングなどを面白く語ったり。楽しく対話するのはビジネスの役にも立ちますしね。

森本さん:自信を持たせることが大切です。パラダイムが変わればどうなるか。例えば、勉強が得意な人に勉強で負けても、うちの重機を操作したら勝てる。偏差値、学歴は学生まで。「ビジネスマン偏差値」を上げること。自分の家族や子供が嫌な思いをしないように、しっかりと学んでほしいと思っています。

森本さん:管理職には、業界の集まりに私の代理で出席してもらうこともあります。経験を積ませることを意識しています。そういう場所に行くと、いわゆる「偉い人」に会うことがあるのですが、「たいしたことないでしょ」って(笑)。

-自信がつきますよね(笑)。

森本さん:従業員にエンパワーすること。考え方や価値観を変えさせる。そのための、見方が変わるような教育が大切です。静かなるリーダーでも良いんです。アメリカ的なマッチョだけではなく。

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-森本さんが思う自律型人材とはどんな人でしょうか。

森本さん:一言でいうと「自己組織化」です。指示待ちではなく。組織は一つの「劇」だと思っています。その役を演じること。工場長なら「理想の工場長像」を台本通りに演じること。そのために経験を積んでもらいます。「役割性格」ですね。

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対話型OJTを献本させていただきました。

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インタビュアーの林(ラーンフォレスト合同会社 代表社員)は、上記の「対話型OJT」をもとにした、新人の適応を促す「上手な仕事の教え方」を研修にてお伝えしています。

【OJTメンター研修・指導員研修】 

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-最後に、これから起業を目指す若者にメッセージをお願いします。

森本さん:「しぶとさ」と「しつこさ」。それがないと、崩れるし、真似をされてしまいます。ビジネスは長くやることが大事ですから。

森本さん:「110のアクションプラン」。煩悩に二つ足して、「百獣」です(笑)。数個を試して、たまたま一つ二つ当たる人はいるかもしれませんが、それを参考にしてはダメ。110やってみて当たるのは一つ二つ。見えているのは氷山の一角です。秋元康さんもそう。

森本さん:「確率原理」。数で確率を高めることが大事なことです。例えば、自分は20回繰り返し話すと暗記できるということを自分で把握しています。起業家は算数を病的と思えるくらい大事にしてほしいと思っています。起業は「アート」と「サイエンス」の両方を大事にしてください。

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同業他社からも注目され、相談に乗ることもあるという森本さん。業界の底上げのためには教育が必要だということを身をもって体現しているからこその躍進なのだと思います。

森本さん、佐々木さん、どうもありがとうございました!

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