ファスト教養

ファスト教養

レジー

第1章 「ファスト教養」とは?

・「楽しいから」「気分転換できるから」ではなく「ビジネス(お金儲け)に役立てられるから」という動機で色々な文化に触れる際、自身が好きかどうかは大事でなく、深く没入するより大雑把に「全体」を知ればよい。

・ビジネスシーンで使える「話を合わせるのに最適なネタ」をクイックに仕入れて「上手く立ち回る」ことによってお金を稼ぐためのツールとして最適なのが教養であるといった風潮が「ファスト教養」。

第2章 不安な時代のファスト教養

・個別事情に最適化した「すぐ役に立つ」を突き詰めたものは基本的に普遍性を失う。

・昨今の社会には、教養を「役に立つかどうかではなく長いスパンで考えたときに人生を豊かにするもの」というのんびりした場所から追い出そうとする磁場が形成。

・2016年の調査において終身雇用支持する割合が過去最高値となる87.9%を記録。2,30代においても同様。(中略)VUCAの時代を生き抜くための効果的な処方箋としての教養という幻想が昨今の教養ブームを生み、ファスト教養の隆盛を支えている。

・ファスト教養を取り巻く状況は、「ビジネスで成功したい」という欲望と「使えない人材になりたくない」という恐怖の狭間で平衡感覚を失っていくビジネスパーソンの姿が描き出される。

第3章 自己責任論の台頭が教養を変えた

・「シンプルに考える」「複雑に考えない」という価値観は、ビジネスシーンにおいては成功の秘訣の一つになりうるが、「味わう」ことに主眼が置かれるカルチャーとの食い合わせは悪い。

第5章 文化を侵食するファスト教養

・特定のジャンルに明るくなるためには「はずれ」も引きながら身体でその分野の空気を覚えていく必要があり、自分で見つけたという感覚自体がそのカルチャーにのめりこんでいくきっかけにも。

第6章 ファスト教養を解毒する

・渡部昇一著「知的生活の方法」で説いている「あなたの古典」という考え方は、新しい情報を追い続けなければ生き残れないといった時代の流れに対する明確なアンチテーゼに。

・脱落の不安に追い立てられるのではなく、誰もが「その人であった可能性」に目を向けたうえで、自分が成し遂げた成果を少しでも社会全体に戻そうとする精神が広がった先にこそ、ファスト教養とは異なる価値観の地平が見えてくる。

・誰もが「その人であった可能性」を想像できる社会であればこそ、誰もが成功者に対してドロドロしたやっかみではなく前向きな憧れを抱くことができる。

・誰もが成功と成長を求めた結果として不安と疑心暗鬼が充満する社会ではなく、個人としてのチャンスをうかがいながらもいつかどこかで生まれるかもしれない「ジョブズ」を正しく受け止められるリテラシーを持った人々によって構成される社会を共有できるのが「教養あるビジネスパーソン」。

おわりに 

・若林正恭著「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」の一節、『「先生、知ることは動揺を鎮めるね!」「若林さん、学ぶことの意味はほとんどそれです」』。若林が体現しているのは「ビジネスの役に立つ、とは異なる学びのあり方」そのもの。

 

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