【株式会社むさし商事】高田修一さん

板橋区の起業家インタビュー、第34回目は「株式会社むさし商事」の代表取締役、高田修一さんにお話を伺いました。

高田さんとは、中小企業家同友会のつながりでご縁をいただき、インタビューの運びになりました。

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ーむさし商事は来年、70周年を迎えます。3代目として事業承継をされて7年なんですね。

ー家業を継いだ経歴を教えてください。

高田さん:大学を卒業後、大手の不動産会社に就職しました。

ー最初から不動産会社に決めていたんですか。

高田さん:学生の頃から、父の影響で車が大好きで。モータースポーツ関連も考えていました。でも結局、内定を3社もらったのですが、全て不動産会社でした。

高田さん:選んだ会社は営業バリバリの会社でした。私は旅行するのも好きなのですが、今では考えられませんが、旅行のために有休をとろうとするものなら、周囲からは「正気か!?」と言われてしまうほどの仕事に熱心な会社でした。

高田さん:新卒入社の同期は30人ほどいましたが、私自身は、会社からは「期待されていない」新人でした。のほほんとした性格。ですが、物件仕入れのための飛び込み部隊に配属されたんです。「マンション売りませんか」って。

ー飛び込み、辛い仕事ですよね。嫌にはならなかったのですか。

高田さん:確かに大変でしたし、落ち込むこともありましたけど、私は他の人より、あとに引きづらないんです。一晩するとケロっとして。配属されたのは関東の中でも厳しいと言われていた渋谷営業所。上司の女性も厳しかったのですが、なぜか信頼を得られました。

高田さん:当時は、会社からの発奮材料として、全国の契約獲得上位者を模造紙に張り出していたんです。入社1年目にして、私ともう一人の同期が新人賞を受賞しました。嬉しかったんですね。そういうこともあり、契約を取るのに躍起になりました。休みよりも名誉が欲しいな、と思いながら頑張っていました。

ー休みはいらない、と。

高田さん:休みの日も仕事のことを考えながら行動していましたね。そのおかげもあり、いつもトップの成績というわけにはいきませんでしたが、ノルマを割り込むことはなかったです。あの時がむしゃらに働いたことは、良い経験ですね。とはいえ、3年弱でしたが、もしあのまま会社に残っていたら過労死していたかもしれません(苦笑)。

ー3年たった頃に、家業に戻られたのですね。

高田さん:父から「手伝ってくれないか」と誘いがありました。いずれ戻ろうという気持ちはあったので、ちょうどよいかなと思い、むさし商事に入社しました。

ー二代目は高田さんのお父さまですね。いずれ戻ろうと思っていたとのことですが、家業を継ぐとか、そういう話はしていたのですか。

高田さん:子供の頃から、働く父を間近で見ていました。また父は、中板橋町会長を30年ほど勤めていました。最長任期だと聞いています。そのほかにもPTAや各役員を歴任したり、仕事はもちろん、地域活動にも力を入れていました。自分も大人になったら、地域も含めて、むさし商事で働くのかな、と思っていましたね。

高田さん:小学校から中学校にかけては、学校が終わると、家ではなく事務所に「帰って」いました。父も母も働いていて、家には誰もいないので。ですから、当時の従業員や、商店街の皆さんにも可愛がられていたと思います。客商売を身近に見ていたことで、無意識のうちに不動産屋に傾倒していたのかもしれません。

ー子供の頃からお父さんから仕事の話を聞かされていたのですか。

高田さん:子供の頃からよく父とは会話していました。先ほども言いましたが、父は車が趣味だったので、私も自然に車好きになりました。ですから、父との会話は車の話がとても盛り上がるんですね。その際に、進路の話や不動産の話をしました。車をダシに、うまく誘導されていたのかもしれません(笑)。

高田さん:印象に残っているのは、「不動産の土地取引は、唯一無二のもの、頭を使って商機がある仕事」だという言葉です。同じ土地は二つとしてない、仲介業は在庫を抱えることは無いよ、などと熱く語ってくれました。衣食住と言いますが、食いっぱぐれないのが土地取引なんだよと。

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ー育成についてのお考えを教えてください。

高田さん:最初に皆に問いかけたいのは、「誰のために働いているの?」ということ。これは強く意識していることです。その答えは「自分のために働くこと」です。まずは自分が幸せになってほしい。その後、会社のため、そして社会のためと考えることです。どうしたら自分と共に周りも幸せになれるのかを考えてほしいんです。

高田さん:幸せになるためには、どうすれば良いのか。もちろんお金も大事ですが、精神的にも幸せじゃないとですよね。そのためには、自分と、家族と、会社の仲間と、社会の人たちと一緒に幸せになることです。お金を稼ぐためだけだと、自分のためだけになってしまいます。いずれほころびが出て、無理になります。余談かもしれませんが、お金持ちは本当に幸せか、と言えば一概には言えないと思います。お金があるために不幸せになる人も少なからず見ています。

高田さん「会社は「一生いるかも知れない場所」。長い時間を過ごす場所です。もしかすると家族よりも長く過ごします。時間を共有するとき、楽しくないと幸せにはなれません。家族と同様なのが、会社の仲間。きれいごとだけでいうのでなければ、互いに相容れないことも時にはありますが、お互いの「温度差」を調整すること。信頼関係を互いに構築することです。

高田さん:とはいえ、そんなに肩ひじ張らなくてもいいんです。私自身としては、当たり前かも知れませんが、社長として、朝一に出社して鍵を開けることや、掃除をすること、自分から挨拶することを心がけています。

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ー高田さんが思う、「自律型人材」とはどのようなものでしょう。

高田さん:考えて行動すること。考えて、答えを出せるように。「仕事がなかったら創出する」ということを、前職でよく言われたことを思い出します。日々の仕事が忙しいから出来ない、動けないというのは、気持ちはわからなくもないですが、言い訳になってしまう部分もあります。例えば、かかってきた電話に対して、「時間が無いから話していられない」といっても、「また電話します」というのは3秒で言えます。時間を作ることはできるはずです。

高田さん:思考を止めているのは楽なんです。ですが、止まってしまっているのは麻痺状態とも言えます。自身のネジを巻き直して動き出すことはできるはずです。

ー自律型人材として、動き出してほしいですね。

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ー最後に、これから起業を目指す若者にメッセージをお願いします。

高田さん:人生は思った以上に短いです。「仕事も人生も楽しまなかったら損だよ。自分で見つけて、考えて」と伝えたいですね。

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「対話型OJTを献本させていただきました。

インタビュアーの林(ラーンフォレスト合同会社 代表社員)は、上記の「対話型OJT」をもとにした、新人の適応を促す「上手な仕事の教え方」を研修にてお伝えしています。

「普段から、『これは、どうやったらうまくいくんだろう』と自問することが大事」と語る高田さん。大好きな車を操りながら考える時間が高田さんの活力を支えているようです。70周年に向け、地域との楽しみの創出を、私も楽しみにしています。

高田さん、どうもありがとうございました!

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