板橋区の起業家インタビュー、第6回目は、「11-1tudio」の砂越さんのご紹介で、仲宿で「板五米店」再エネ電気事業の「めぐるでんき」など、多角的に事業を営む、「(株)向こう三軒両隣」代表取締役の永瀬賢三さんにお話を伺いました。

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ーホームページを拝見すると、永瀬さんが今の会社を立ち上げたのは、近所にあった銭湯がなくなってしまったのがきっかけのようですね。

永瀬さん:板橋で生まれ育ってきて、昔ながらの場所がどんどんなくなっていきます。街固有のものが残せないのか、という思いがありました。

ー以前は、板橋3丁目食堂を経営されていたんですよね。起業されたのはいつですか。

永瀬さん:2010年の12月、31才の時です。起業というより、独立・開業ですね。料理の道に進んだ人は、大体皆、店を持つことが一つのゴールだと思います。15~6才の時、料理の道に進み、イタリアンレストランで10年ほど働きました。30才までには独立したいと思っていたのですが、その前に経営を学ぼうと、大手フランチャイズチェーンを束ねる外食産業の会社に入社したんです。3年ほど、マーチャンダイジングや商流の事を学ばせてもらいました。

―イタリアンレストランをやめて「すぐ独立」ではなかったんですね。

永瀬さん:元々、料理も好きでしたが、飲食産業全体に興味があったんです。また、雇用するためには経営を知らないと駄目だと思っていました。

ー最初から雇用することを考えていたのは、すごいですね。

永瀬さん:人に興味があるんです。

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ー街に愛着があるということですが、「板橋のため」というお気持ちなのですか。

永瀬さん:いえ、別にそういうわけではないんです。よくそう思われるみたいなんですけど(苦笑)。子どもの頃から商店街で育ち、愛着はあります。親が店をやっていたので、結構ほったらかしにされていたんですよ。だけど、商店街にはたくさんの知り合いがいて、何かにつけて面倒見てくれていました。そんな「緩やかなつながり」がある場所で商売をするというのは、僕にとっては自然なことなんです。だけど、銭湯がなくなってマンションが立ち、まだこの辺りは昔からの建物は残っている方だと思いますが、どんどん失われていく。一時は、海や山など自然豊かなところに移住しちゃおうかな、とも思ってました。

ー移住!!

永瀬さん:本気で思っていたかもしれませんね。ですが、銭湯の時もそうでしたが、「街固有のものを残せないのか」という思いが強くあったのも事実です。そうして仲間と共に「向こう三軒両隣」を立ち上げたのですが、思えばこれは「起業」ですね。

永瀬さん:僕しかできないことって何なのか、と考えた時、「場作り」だと思いました。そのための「ハコづくり」「コトづくり」をしているのだと思います。誰かにとっての居場所、共感できる場所です。

ーそれが「板橋3丁目食堂」から、「おとなり」や「板五米店」につながっていくんですね。

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ー永瀬さんが思う「自律型人材」とはどのようなものでしょう。

永瀬さん:自分で課題を見つけられる人です。ただ、そもそも、人は誰でも基本は自律していると思うんです。それが、場合によっては環境に削られてしまい。いつしか「自律」がなくなってしまうのではないでしょうか。

ー誰でも基本は自律型、というのは面白いですね。

永瀬さん:例えば、板五米店のスタッフがうちのおむすびを開発した時、「永瀬さん、どうですか?」と聞かれたら、「自分はどう思うの?」と聞き返します。その時、自分の「どうしたい?」がないのであれば、それは上司に向けての仕事であり、お客様と自分軸での仕事をしていないということです。自分が良いと思う味、つまり、その目線の先にはお客さまがいる。仮に僕が味がイマイチだと言ったとしても、自分が美味しいと思ったら意見をぶつけてくると思うんです。林さんの著書に引っ掛けると、「対話を常にする」ということですね。日々のディスカッションを心掛けています。

ー拙著(対話型OJT)に触れていただき、嬉しいです。「自分はどう思うの?」という言葉を永瀬さんは大事にしていらっしゃるように感じます。

永瀬さん:もし、自律型人材を育てる、と考えた時、大きくは教育なのでしょうが、「とことん聞くこと」が大事だと思います。先ほどの話とつながりますが、子どもは常に自律型ですよね。どんどん聞いてあげることは、相手を信じているからこそできることです。

永瀬さん:先ほども言いましたが、人に興味があるんです。対話をする中で「どんな人なのかな」と観察すると、自然と見えてきますよね。「隠す人」と「隠さない人」というのは話していて直感でわかります。嘘偽りがない人が好きですね。

ースタッフの皆さんにも興味をお持ちのリーダーというのは、働いている側も嬉しいと思います。

永瀬さん:自分はリーダーであるとは思っていないです。自分にも弱いところはありますし、対等なチームを作っているつもりです。ただ、あえて言うと、人にとことん興味を持たないと誰もついてきてくれないと思います。

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「(この先起業を考えている)読み手の方に役立ってくれれば嬉しいですね」とこちらの意図を汲んでインタビューに答えてくれた永瀬さん。優しさの中にも強か(したたか)さを感じました。雇用を守る起業家の覚悟の現れなのだと思います。

永瀬さん、ありがとうございました!

 

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