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影響力の武器

ロバート・B・チャルディーニ

【第1章 影響力の武器】

<カチッ・サー>

・「カチッ」とボタンを押すと、その場面に適したテープが動き出します。そして、「サー」とテープが周って一定の標準的な行動が現れるのです。

・多くの研究者が、たいていの場合は人の行動は機械的だと確信しています。(Bargh & Williams,2006;Langer,1989)。

 

<柔道>

・人間の知覚にはコントラストの原理というものが働いており、順番に提示されるものの差異を私たちがどのように認めるかに影響を与えます。(中略)実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまう傾向があるのです。

 

【第2章 返報性-昔からある「ギブ・アンド・テイク」だが・・・】

・恩義の感情が未来に及ぶことは日本語の「ありがとう」を表すフレーズ、「すみません」によく現れています。「すみません」というのは文字通りに読むと、「これで終わりません」という意味になります。

・返報性のルールから発展した、受けた恩義を返さなくてはならないという制度は、人間文化だけにある特徴と言ってよいのかもしれません。

○やってくれたら、何かお返ししなくちゃ、というのは、営業で感じることのできる喜びです。

・返報性のルールにより、私たちが行動という形で撒いた種は、その味が甘くても苦くても、必ずや私たちのところに戻ってくるのです。

 

<返報性のルールはどのように働くか>

 

『返報性のルールのために、知らぬ間に恩義を感じてしまう』

・さまざまな組織が、相手が望まないものでも贈り物を与えさえすれば恩義の感情を引き起こせることに気がついています。

 

『返報性のルールは、不公平な交換を引き起こす』

・私たちの多くにとって、恩義を受けたままにしている状態というのはとても不快なものです。

・返報性のルールを破る人、すなわち他者の親切を受けるばかりで、それに対してお返しをしようとしない人は、社会集団のメンバーから嫌われます。

 

【第3章 コミットメントと一貫性-心に住む小鬼】

・ひとたび決定を下したり、ある立場を取る(コミットする)と、自分の内からも外からも、そのコミットメントと一貫した行動をとるように圧力がかかります。

 

<一貫性のテープが回る>

・なぜ人が、これほど一貫性を保とうとするのか。それを理解するには、日常生活の大部分において、一貫していることは望ましくもあり、適応的でもあるという事実を認識する必要があります。

・一貫性を保ってさえいれば、考え続ける辛さから逃げられるのです。一貫性テープを再生すれば、多くを考える必要がなくなり、楽に生きられます。

 

<コミットメントが鍵>

 

『自分で決めたこと』

・人は自分が外部からの強い圧力なしに、ある行為をする選択を行ったと考えるときに、その行為の責任が自分にあると認めるようになります。

・子どもに何かを本心からやらせようと思うなら、決して魅力的なごほうびで釣ったり、強く脅してはいけないということが言えるでしょう。

 

【第4章 社会的証明-真実は私たちに】

 

<社会的証明の原理>

・特定の状況で、ある行動を遂行する人が多いほど、人はそれが正しい行動だと判断します。

 

<死因は・・・不明(確なこと)>

・一般に自分自身に確信が持てないとき、状況の意味が不明確あるいは曖昧なとき、そして不確かさが蔓延しているときに、私たちは他者の行動を正しいものと期待し、またそれを受け入れるようです(Sechrist & Stangor,2007)。

・曖昧な状況では特に、周囲の人たちが何をしているのかを知ろうとする傾向を皆がもつことにより、集合的無知と呼ばれる非常に面白い現象が生じてきます。

 

『科学的研究』

・集合的無知の効果は、見知らぬ人同士のあいだで最も強く現れるようです。

 

『あなた自身が犠牲者にならないために』

・肝心な点は、人が集団になると援助をしなくなるのは彼らが不親切だからではなく、確信が持てないからなのだと、ちゃんと理解することです。

○集団心理の怖さの一つ。「誰かがやるでしょ」。

 

<私のまねをしなさい・・・サルのように>

・私たちはほかの人の行動から、自分にとっての適切な行動を決定しますが、そうした傾向がとりわけ強まるのは、その「ほかの人」が自分と似ている場合なのです(Parks,Sanna & Berel,2001;Stangor,Sechrist & Jost,2001)。

○著者の息子クリスが3歳の時、親が教えても、水泳コーチが教えても浮き輪を外さなかったのが、「あのね、僕は3歳で、トミーも3歳。トミーが浮き輪なしで泳げるんだから、僕だってできるってことでしょ」と泳げるようになったエピソード。身につまされますね、子を持つ親としては。

 

<防衛法>

 

『自動的な行動に気をつける』

・社会的証明の原理の稚拙な悪用法は、最も由緒ある芸術形態の一つ、グランド・オペラの歴史のうちにも見ることができます。これはサクラと呼ばれるもので、パリのオペラハウスの常連ソートンとポーシェが1820年代に始めたと言われています。二人は、単なるオペラの常連というばかりではなく、ビジネスマンでもあり、その商品は「拍手喝采」でした。

○サクラが商売、というのは言われると納得します。歌舞伎の掛け声もサクラ?

 

【第5章 好意-優しそうな顔をした泥棒】

・一般的に言って、私たちが最も頼み事を聞いてあげたいと思うのは、相手をよく知っていて、しかもその人に好意をもっている場合です。

 

<あなたを好きになるのはなぜ?その理由を考えてみよう>

 

『外見の魅力』

・外見的魅力のある人の方が、他者との付き合いで有利になるというのは、一般によく知られていることですが(中略)。カチッ・サー反応が生じるらしいのです(Olsen & Marshuetz,2005)。(中略)反応それ自体は、社会科学者がハロー(後光)効果と呼んでいるカテゴリーに入ります。

 

『類似性』

・私たちは自分に似ている人を好みます(Buger,Caldwell,2003)。(中略)私たちから好意を獲得し、言うことを聞かせようとする人は、さまざまな方法で私たちと似ているように見せかけ、その目的を達することができます。

・一見どうということのない共通点が、どの保険に入るかとか、どの調査に協力するか、果ては誰と結婚するかに至る、さまざまな決定に影響を及ぼすのです(Jones,Pelham,Carvallo & Mirenberg,2004)。

・多くの販売訓練プログラムは、研修生に客の姿勢、雰囲気、話し方を「鏡のように似せて、相手に合わせる」よう教えています。

○これもまたミラーリングですね。

 

【第6章 権威-導かれる服従】

 

<重要なのは中身ではなく外見>

 

『肩書きの力』

・権威の有無が大きさの知覚に及ぼす影響を調べた研究では、高名な肩書きをもっていると、身長が実際よりも高く知覚されることがわかりました。(中略)「教授」として紹介されたときには、「学生」として紹介された場合より、6センチも高く知覚されていたことになります(Wilson,1968)。別の研究では、選挙で勝利した政治家は、選挙前よりも背が高くなったように、有権者の目には見えることがわかっています(Higham & Carment,1992)。

 

『服装』

・機械的な服従の引き金となる権威のシンボルの二つ目は服装です。肩書きよりはまだ実態を伴っていますが、この権威のマントもやはりあらゆる点で偽造可能です。

 

『装飾品』

・スタイルのよい高価な服は地位の威光をもたらします。それと似た効果をもつのが、宝石のような宝飾品や自動車です。

 

<防衛法>

 

『ウラのある誠実さ』

・権威者の信頼性について自問するときに留意すべきは、承諾誘導の使い手が、自らの誠実さを私たちに納得させようとしてよく用いる、ちょっとした戦術の存在です。つまり、彼らは自分たちの利益に少し反したことを言うのです。

・誠実であるとわかった専門家ほど信頼できる人はいないというわけです。

○もちろん自分の利益も考えた上で誠実になること。相手もわかっています。

 

【第7章 希少性-わずかなものについての法則】

・何かを愛するには、それを失う可能性を実感すればよい。-G・K・チェスタトン

○家族に当てはめてみる。響きます。腹立ててなんていられませんね。

 

<少ないものがベスト 失うことはワースト>

・人は、あるものが失われてしまうと考えるときの方が、同じくらいの価値のものが手に入ることを考えるときよりも、強く刺激されるようです(Hobfoll,2001)。

・損失に関する意思決定は、獲得に関する意思決定よりも邪魔しにくいという研究結果が出ているのです。(Weller,Levin,Shiv & Bechara,2007)。

○失うことの恐怖感。

 

【第8章 てっとり早い影響力-自動化された時代の原始的な承諾】

 

<まとめ>

・本書では、承諾を引きだすきっかけとなるそうした要因のうち、最も信頼性が高く、それゆえ最も頻繁に使われるものについて述べてきた。そうした要因とはすなわち、コミットメント、返報の機会、類似した他者の承諾行動、好意あるいは友愛の感情、権威からの命令、希少性に関する情報である。

○相手を動きやすくしてあげること。名目を与えてあげること。恋の駆け引きみたいなところもありますね。だから、営業って面白いのかもしれません。

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