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フィードバック入門

中原淳

はじめに

・フィードバックとは、端的に言ってしまえば、「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直すこと」です。→「情報通知」「立て直し」

 

 

第一章 なぜ、あなたの部下は育ってくれないのか?

 

「昔の上司は人を育てるのがうまかった」は本当か?

・当時の職場には上司が特に意識して人材育成を行なわなくとも、「部下が育つ」諸条件が一通り揃っていたからです。その条件とは、「長期雇用」「年功序列」「タイトな職場関係」の三つです。

・「人が大きく育つ瞬間」とはいつだと思われるでしょうか。それは、「成功体験」をしたときよりも「大きな失敗」をしたときです。

◯その通り!でも、大きな失敗を支えてくれる何か、誰かがいないと潰れてしまう危険性も。環境は大事ですね。

 

突然化・若年化するマネジャーと、その場しのぎにもならない短期研修

・本来の意味とはかけ離れた現場での部下育成、いわゆるOJT(On the Job Training)が行なわれるようになりました。そう、こんなふうに。

「おまかせジョブトレーニング」「お前ら自分でやれ頼るな」「教える自信がないのでテストばかり」「俺に聞くな自分でやれ頼むから」

 

かつてよりも心を通わせるのが難しい若手社員

・熟達は、熟達者から「非熟達者であった頃の思いや感覚」を奪っていきます。

◯わからなかったときの事を忘れるな、というのは初心忘るべからずということ。忘れない努力も必要ですね。

部下が育たないのは「みんなの問題」ーもてはやされた「コーチング」

・コーチングが導入される前には、いかに情報を効率的に伝達するかという「ティーチング」のあり方が探求されていたのです。これを別の名前では「導管モデル」と呼ぶこともあります。導管モデルとは、

①情報はモノを受け渡すかのように「伝達」することができる

②学習とは、「有能な人」から「有能でない人」に対する情報の「伝達」によって引き起こされる

という考え方のことです。

◯伝達で受け止めることができる人は、実は「有能な人」になれる素養を持つ人だと思います。「有能でない人」というのは、受け止める気がない人、かと。

・部下育成には、ティーチングが必要な局面も、コーチングが必要な局面も存在するのです。それは「ケースバイケース」なのです。

・要するに、フィードバックは「ティーチング」と「コーチング」を含みこむ、より包括的な部下育成手法なのです。

 

第二章 部下育成を支える基礎理論 フィードバックの技術 基本編

 

部下育成の基礎理論:「経験軸」と「ピープル軸」で考える

・部下育成を行うときには、この二つの軸-経験軸とピープル軸をしっかり押さえてください。

 

経験軸ー部下に適切な業務経験を与えているか?

・人材開発の世界では、業務経験から学ぶことを「経験学習」といいます。

・経験学習には、(中略)「現在の能力でできる業務」のレベルよりも、少し高めの業務(背伸びしてできる業務)を任せていくことが重要です。

・どんな業務経験を与えれば、着実に成長できるのか。正解は、コンフォートゾーンとパニックゾーンの中間に位置する「ストレッチゾーン(挑戦空間)」の心理状態になるような仕事を与えることです。

・マネジャーは、どのような仕事を与えれば、部下が「ストレッチゾーン」になるかを常に考えて、仕事を割り振らなければなりません。

・マネジャーも、部下には「能力よりも少し高いレベルの仕事」を与えていく必要があるのです。

 

ピープル軸ー「点」ではなく、「面」による部下育成

・職場で人が育つためには、三つの他者からの支援が必要であることがわかりました。大きく分けて「業務支援」「内省支援」「精神支援」の三つです。

 

部下育成の基本理論とフィードバックの関係

・「情報通知」とはピープル軸の「業務支援」に、「立て直し」とは「内省支援」と「精神支援」に近いことがわかります。

 

【事前】観察による情報収集:フィードバックのためのSBI情報の収集

・SBIとは、シチュエーション、ビヘイビア、インパクトの頭文字をとったものです。

 

①信頼感の確保

・フィードバック面談のオープニングでは、まず、部下の「心理的安全」や「信頼感」を確保することが求められます。

 

②事実通知:鏡のように情報を通知する

・回りくどい言い方をしても、どんな婉曲表現を使ったとしても、フィードバックでは「痛み」を避けることはできないこと(中略)。大人が何かを学ぶとき、行動を変容させるときには一定の「痛み」がともなうのです。

・鏡のように客観的に話すコツは、「私には、先日のあなたの行動は、こういうふうに見えるけど、どう思う?」というように、「~のように見える」と話すことです。

・上司の中には、フォローのつもりなのか、フィードバック後に、変に褒める人がいますが、これは逆効果であることのほうが多いことが実践知としても知られています。

 

③問題行動の腹落とし:対話を通して現状と目標のギャップを意識化させる

 

④振り返り支援:振り返りによる真因探求、未来の行動計画つくり

・振り返りのプロセスでは、場合によっては、沈黙してしまう部下が出てくるかもしれません。しかし、決して「沈黙」を恐れないでください。「沈黙」を恐れる余りに、本来、相手が言葉にしなければならないものをこちらが言葉にしてしまうと、学びや行動変化にはつながらない場合が多いのです。

◯フィードバックの後の「変に褒める」もそうですが、「沈黙」をしっかり意識するのは大変です。沈黙、つまり役者でいうところの「間」を操るということ。

 

【事後】フォローアップ

・フィードバックは一度きりで終わることは希です。

・人を変えるためには、このように「手間暇」をかけ、かつ、「あの手この手」を尽くさなければなりません。しかし、私たちは、できる限りあきらめず、部下の変化を信じることこそが重要だと思います。

 

第三章 フィードバックの技術 実践編

 

チェックポイント1.あなたは、相手としっかりと向き合っているか?

 

チェックポイント2.あなたは、ロジカルに事実を通知できているか?

・フィードバックで何より重要なのはロジカルであること(論理的であること)なのです。「たかが締切りだと思っているかもしれないが、信頼を失って、契約を打ち切られてしまう可能性がある」などと、厳しいことも包み隠さず言った方が、部下もその深刻さを理解するでしょう。

 

チェックポイント3.あなたは、部下の反応を見ることができているか?

・フィードバックにおいて「聞くこと」は、「論理のほころび」を待つことなのです。

 

チェックポイント4.あなたは、部下の立て直しをサポートできているか?

 

チェックポイント5.あなたは、再発予防策をたてているか?

 

第四章 タイプ&シチュエーション別フィードバックQ&A

・フィードバックのコツは、「鏡のように話す」ことだと話しましたが、オウム返しもまた、「鏡のように話すこと」の一つの形だといえるでしょう。

・部下は予想以上に上司のことを観察しているものです。窮屈ではありますが、そのことをいつも念頭に置いて、行動することが、マネジャーには求められます。

◯見られる立場だと意識するからこそ磨かれる部分もありますね。女優さんは売れれば売れるほどきれいになっていきます。

・新しい仕事を避けようとするのは、今のままでも、自分の地位が安泰だと思っているからです。(中略)自分では「年を取っても今の仕事が務まる」と思っても、周囲からはそう思われなくなっていくことが多いからです。

 

第五章 マネジャー自身も成長する! 自己フィードバック・トレーニング

 

人は無能になるまで出世するー自分をフィードバックし続けるために

・組織論でよく言われることばに、「人は無能になるまで出世する」という「ピーターの法則」があります。(中略)若い頃はどんなに有能だった人でも、最終的には無能扱いされて終わるというわけです。

◯これは怖い。

・私は、よく、「緊張屋」と「安心屋」という話をします。「緊張屋」とは、自分に厳しいフィードバックをしてくれる人のことで、一方、「安心屋」とは、「大丈夫だよ」と言ってくれる人のことです。(中略)もし「緊張屋」が少ないならば、苦労してでも、「緊張屋」を求めに行きましょう。それが自分のフィードバックの質を高めるだけでなく、自分を成長させ続けるエンジンにもなるのです。

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